こんにちは!
理学療法士の水野純一です!
今回はサッカープレイヤーに多いグロインペイン症候群(別名:鼠径部痛症候群)についてご説明させて頂きます。
グロインペインは股関節前面(鼠径部周辺)の疼痛です。
予防や疼痛改善に必要となるのは、股関節の柔軟性はもちろんですが、「上半身の使い方」も非常に重要となります。
そしてこれは怪我予防だけではなく、パフォーマンスアップとも繋がります。是非今回の記事で、知識の引き出しを増やすお手伝いが出来ればと思います。
グロインペインペイン症候群とは?
まずグロインペイン症候群とはどういった症状なのか?ということをご説明させて頂きます。
「グロインペイン症候“群”」と名前にある通り明確な定義はありません。
原因は様々ですが、鼠径部周辺に生じる疼痛の総称がグロインペイン症候群と呼ばれています。
過去には、中田英寿選手やジネディーヌジダン選手などのトッププレイヤーもこの怪我に苦しめられており、成長期のみに好発する症状ではありません。これは過去にご紹介させて頂いたオスグッドやシーバー病とは異なる点です。
グロインペイン症候群の好発部位としては、
・ 下腹部
・ 鼠径部
・ 坐骨部
・ 睾丸後方
・ 内転筋近位部
これらの部位に疼痛が生じることが多いと言われています。
細かく位置は異なるものの、股関節の前面や中間部に生じることがほとんどです。
なぜグロインペイン症候群は生じてしまうのか?
ではなぜグロインペイン症候群は生じてしまうのでしょうか。
① 股関節周辺の筋肉が硬い
② 上半身(腕も含めて)を上手く使えていない。
原因は大きく分けてこの2つです。
① 股関節周辺の筋肉が硬い
まず股関節周辺の筋肉の柔軟性が大きく関係します。
股関節は指の関節などとは異なり球体であるため、屈曲・伸展(曲げ伸ばし)のみでなく回旋系の動きも伴います。
そして、サッカーは他のスポーツと比較し、インサイドキック・インステップキック・アウトサイドキックなど様々なキックの種類があります。この際に股関節周辺の筋肉が硬く可動域が狭いとそれだけで負担が大きくかかってしまいます。
またグロインペイン症候群は軸足に発症するケースも多いため、キック時に股関節周辺の筋肉が硬いと上手く衝撃を吸収できず、疼痛に繋がってしまうケースも多く見られます。
② 上半身(腕も含めて)を上手く使えていない。
そして、上半身の柔軟性がとても大きく関係してきます。
前述した通り、グロインペインはシュートやロングキックなどの際に軸足の股関節に疼痛が発生するケースが多いと言われています。
これは、キック動作時に
・ 蹴り足と逆の腕の振りが少ない
・ 脊柱が硬く、”しなり”が出せない
こういった現象が生じてしまうと脚だけに頼ったキックとなってしまい、パワーや飛距離が出ないだけではなく、軸足の股関節に過剰に負担が生じ疼痛を引き起こしやすくなります。
逆に言うとこの2点が改善されると股関節への負担が減りグロインペイン症候群発症のリスクが減り、キック動作も改善すること多いです。
実際に、海外のトッププレイヤーのシュートを見てみると、全身が弓の様にしなっていることがわかります。
そして、腕の振りが小さい原因として多いのが肩甲骨の硬さです。
いくら腕を振ろうとしても肩甲骨が一緒に内側に動かなければ腕は開けず、うしろに振れません。
また背骨の動きが硬かったり、猫背になってしまうと胸を張るような動きが上手く行えず腕を後ろに振ることはできません。
グロインペイン症候群の改善・予防や、強いシュートを撃つには上半身や股関節を柔らかく使えることが重要なのです。
グロインペイン症候群の対策
●股関節周辺筋群のストレッチ
まずはしっかり股関節周辺筋群のストレッチを行いましょう。
キック時に重要になる腸腰筋や、内転筋群は練習前や筋肉が柔らかくなるお風呂あがりには確実に行うようにしましょう。
●腸腰筋のストレッチ
① 片膝を前に出し、伸ばす側の膝をなるべく後ろに着く
② 腕を上に伸ばし、上半身を伸ばす脚の逆側に捻る
●内転筋群のストレッチ
① 膝を伸ばし、足の内側を地面に着く
② 上半身を伸ばしている脚の方向にゆっくり倒す
●肩甲骨のストレッチ
① 目線の高さで手の甲を合わせる。
② 手のひらを外側に向けるように開く
●背骨のストレッチ
① 大きく息を吐きながら背骨を一つづ動かすイメージで背中を反る
② 手をついて腰椎まで反る
③ 大きく息を吐きながらゆっくり身体を下に戻していく
まとめ
① グロインペインは鼠径部周辺の疼痛の総称であり定義はあいまい。
② シュート・ロングキック時に軸足に過剰に負担がかかることによって生じることが多い。
③ 股関節への負担を減らし、強いシュートを撃つにはためには上半身の使い方が非常に重要。