先日のサッカー日本代表VSブラジル代表の試合後の解説者のコメントで「フィジカルが弱い」との話がいくつか出ていました。しかしこの「フィジカルの弱さ」は今始まったばかりの話ではなく、今まで何度も耳にた言葉ですよね。
今回はジュニアサッカーにおけるフィジカルの必要性を検討し、トレーニング方法をいくつかご紹介していきたいと思います。
フィジカルって何?
サッカーにおいて「うちの子はフィジカルが足りない」今日の試合はフィジカルで負けた」というような言葉をよく耳にします。
いったいフィジカルとは何でしょうか?
フィジカルはメンタル(精神)の対義語で用いられることが多く、「あたりが強い」「競りあいに強い」「バランスが良い」という意味とされています。
言葉で説明するのは簡単ですが、身長、体重、のように数値で表されるわけではないため、「あの選手はフィジカルが強い」「弱い」という評価は選手の主観や指導者の客観で違った評価になります。
しかし一つ共通しているのが、フィジカルが強いと言われる選手は皆、体幹が安定しているということです。
この体幹が安定しているということは、「立つ」「歩く」といった基本的動作ができて、はじめてジャンプやダッシュといった目的に応じた動作が可能となる、いわゆるコーディネーション能力に必要不可欠なものと言われています。
体幹能力が高い選手ほど「走力」「跳躍力」「キック力」「クイックネス力」「衝突力」という多様な動きが優れているといえます。
更にコーディネーション能力を身に着けることで、トレーニング中、試合中の怪我防止にも非常に役立ちます。
ジュニアサッカー育成年代にフィジカルは本当に必要なのか?
ジュニアサッカー育成年代にフィジカルは本当に必要なのでしょうか?
確かに中には「育成年代のうちからフィジカルトレーニングなど必要ない」という意見も聞かれます。その理由として、育成年代に必要と思われるフィジカル能力は通常のトレーニングや試合で、知らず知らずのうちに身に付く、又は育成年代からフィジカルトレーニングを行うことが怪我に繋がるということがあげられています。
確かにそれも一理あるかもしれませんが、選手本人のサッカーに対する意識が高ければ高いほど必要なものだと思います。
一昔前の子供たちと現代の子供たちの体力差には開きがあるようで、現代の子供たちは体力が無いというデータがあるそうです。
それは、外で遊ぶ機会が極端に減少した事が大きな理由ということです。
ブラジルやアルゼンチンのサッカー選手達のメンタル・技術・フィジカル、どれををとっても最高レベルであることは周知のとおりですが、それらは子供時代からの強制のない遊びのサッカーから培われてきたものであることに疑いはありません。
子供のころから外で遊ばず、ジュニア育成年代では型にはめたトレーニングをさせていれば技術はあるが、フィジカルが弱い選手になる可能性は高くなります。
外で遊ばなくなった分のコーディネーション能力を、フィジカルトレーニングで補うことで、技術だけではなくフィジカルも強い選手に育てることが可能になるのではないでしょうか?
そう考えるとジュニア育成年代におけるフィジカルトレーニングは、負荷を軽めにして取り入れることにより得られるメリットはかなり大きいと思います。
ジュニアサッカーフィジカルトレーニング方法
サッカーのフィジカルトレーニングの中でもジュニア年代では筋力アップというよりも、体幹トレーニングを取り入れることによって骨盤の安定を図り、あたりに負けない、転ばないバランスの良さを磨いていきましょう。
ここで大事なのが、「このトレーニングはどんな事に役立つのか?」ということを選手が理解していることを確認しながらトレーニングを行うことです。
目標設定は難しいかもしれませんが、得られる目的は明確にしておきましょう。
まずはうつ伏せの姿勢で行う体幹トレーニングです。
腰を上げることによってバランスを保つ能力が上がるようになります。
次は片足立ちでのバランストレーニングです。
意外にできない選手が多く、できても目を瞑るとバランスを崩す選手がほとんどです。
このトレーニングにより相手選手と接触しても転ばなくなること、キック力をあげることが期待できます。
次にうつ伏せでつま先立ちになり、両手を伸ばした状態で静止します。
その状態でお腹に力を入れて片足づつ腿を引き上げます。
このトレーニングで瞬発力、クイックネスを鍛えます。
次にステップワークも同時にトレーニングできるアジリティトレーニングをご紹介します。少し工夫して選手が飽きないようなトレーニングを行っていくことも重要です。
おわりに
ジュニアサッカー育成年代からフィジカルトレーニングを行うことには様々な意見がありますが、怪我防止に役立つはずのトレーニングが、やりすぎて怪我をしてしまっては本末転倒です。負荷を軽くしてジュニア年代に適したやりかたで行えばその意義は大いにあると思います。
海外選手に負けないフィジカルの強い日本人選手が育つことを願っています。
最後までお読みいただきありがとうございました。