サッカーは世界で最も人気の高いスポーツと言われています。
その理由にゴール前の攻防、ゴールが決まった瞬間の喜びがあると思います。
サッカーというスポーツを競技特性から考えてみてください。
11人のチームからなる22人が約105メートル×68メートルの長方形のピッチで一つのボールを奪い合い、互いが自分のゴールを守りながら、相手ゴールを目指します。
ボールに触れられるのは、キーパーなど特殊のポジション、状況を除いては、基本的に足のみです。
シュートまでいくことも簡単ではありませんが、その先には手を使えるキーパーもいます。
普段移動に用いる足を使ってボールを運び、邪魔をする相手をかわさなければなりません。
サッカーは本当にゴールの決まりにくいスポーツです。
だから、サッカーの試合でゴールを決めた選手は全身で喜びを表現するし、サポーターは熱狂に沸きますよね。
そこで一つの疑問が出てきます。
ゴールを決めることが難しいといわれているサッカーで、いとも簡単にゴールを決めてしまうような選手がいると思いますが、それはなぜでしょうか?
今回はそんな、「いとも簡単に」決めてしまうゴールに何か法則を見出し、ドリブルやキックには自信があるのに、ゴールを決められない選手、そしてそれに悩む指導者へ向けた、3つのポイントを考えていきます。
特に、カテゴリー、レベルが上がるにつれて、ゴールが決められなくなった選手は必見です!
1、サッカーの「現れる」プレー
サッカーでは、ゴール前であればあるほど、プレッシャーが厳しくなります。
1点の重みは大きいです。当然ですよね。
1つの得点が、ゲームの行方を大きく左右するスポーツですから、特にレベルがあげれば上がるほど、簡単には得点を許してはくれないでしょう。
ゴール前でディフェンダーは、自分のマークをより警戒するわけですから、ただ何も考えず走り込んだりゴール前で待っていても、チャンスは来ないでしょう。
そんな時に大切になるのは、「現れる」というプレーです。
「守備者の警戒していない場所」から急に現れ、タイミング良くボールを受けてシュートまで持っていくということです。
簡単な図で考えてみましょう。
上記の赤で囲んだエリアを、仮に警戒エリアと呼ぶとします。
勘のいい方ならわかるかもしれませんが、警戒エリアは相手守備者の視野の範囲ですよね。
青の①の選手はゴールを決めるために、いかに赤の①選手のマークから逃れてシュートするのかを考えなければなりません。
その為に、相手選手の視野の特性を利用するのです。
主にディフェンダーは、マークにつく時にボールとマークを同一視野に収めなければなりませんが、試合の流れでついついボールだけを注視してしまう場面があります。
人間は、右を見ながら同時に左を見ることはできません。
相手がボールを注視した時に、上手く相手の視野から消えて、ボールが来そうなタイミングでシュートが打てるスペースに現れる事が出来れば、厳しいゴール前でもシュートを打つための時間を得ることが出来るのです。
この能力に優れているのが、例えば元日本代表の佐藤寿人選手、そしてスペイン代表のセスク・ファブレガス選手です。
特にセスク選手は、ポジションが中盤で特別なスピードやパワーが無いにも関わらず、多くのゴールやゴール前でのチャンスを作っています。
実際に佐藤寿人選手のプルアウェイの動きを見てみましょう
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2、サッカーのシュートコースを知る
サッカーの試合でゴールをたくさん決めるような選手は、その分たくさんシュートしています。
もちろん、たくさんシュートしたからといって、そのままゴールに結びつくというわけではありません。
「とにかく数打てば当たる」事はサッカーではありません。
では、なぜゴールをたくさん決める選手はたくさんシュートを打つのかと言うと、「シュートコースを知っているから」なんです。
例えば、ゴール前でボールを持った場面を想像して見てください。
シュートを打てる距離ですが、目の前に、ゴールを遮るように相手が立っていた場合、皆さんならどうしますか?
ゴールをたくさん決めるストライカーであれば、まずシュートコースを探します。
それは「気が強い」だとか、「エゴイストだから」ではありません。
シュートコースがどこにできるか「知っているから」なんです。
下の図を参照に、相手を目の前にした時、自分がシュートモーションに入った時を想像してください。(右利きが右足でのシュートを想定しています)
シュートモーションに入った時、相手はブロックしようと、図のように、足を上げます。
その時に
①キッカーの軸足側
②ディフェンダーの股の間
③ディフェンダーの脇下付近
がシュートコースとして空くことが多いです。
「多い」と言う言葉を使ったのには理由があって、その事を知っているディフェンダーなら、股下を警戒するなど、対策してくる事もあるからです。
ただ、ゴール前ですから、前を向いた時点で主導権はこちら側です。
なぜなら、ファールをすれば、良い位置でフリーキックを与えてしまうし、簡単に飛び込んでかわされると、さらにゴールに近づかせてしまうからです。
その中で、ボールを横にずらしたり、キックフェイントを使う事で、相手の重心を動かし、バランスを崩す事ならできます。
ここで大切なのは、コースが空く瞬間を見逃さない事です。
ゴール前では、横パスや、ドリブルでなく、「シュート」で終われる選手になりましょう。
シュートコースを知り、その事を頭に入れて駆け引きです。
目の前に相手がいても、コースをイメージしてシュートしても良いかもしれませんね。
3、サッカーの型をもつ
サッカーの試合で、シーズンを通してたくさんのゴールを生み出せるのは、正直至難の技です。
確かに簡単なことではないです。
では、たくさんゴールを決めている選手は、試合の中でどのような考えのもと、プレーしているのでしょうか。
たくさんゴールを決められる選手は、ゴールまでたどり着くための、得意なパターンの様なものを持っています。
パターンとは、「自分の持っている武器を最大限に生かす方法」です。
例えば、背の高さを生かしたヘディングシュートだとか、アルゼンチン代表のメッシ選手のように、右サイドから中に切れ込んで、得意な左足でシュートする、と言った具合です。
まずは自分、あるいは対象とする選手が何が得意か分析してみてください。
利き足は?スピード、高さ、キックの種類はどうですか?
また、今までのゴールはどんなパターンが多かったですか?
ゴール前のあらゆる場面を想定してみましょう。
イメージトレーニングも大切ですね。
ただ、目に見える能力だけ見てしまうと、なかなか得意なパターンは見つけられません。
仮に持っている武器が分からず、なかなかパターンが見つからない人へのオススメは、「こぼれ球」です。
「味方がシュートを打ったら必ずゴール前に詰める」を徹底して見てください。
シュートが打たれた瞬間、ついついディフェンダーは、ボールの行方を目で追ってしまいます。
その瞬間がチャンスです。
ゴール前に入るタイミングや、怖がらず身体を投げ出す事も武器の1つです。
もちろん、これは一つの例です。
パターンが見つかれば、そのパターンの場面から逆算していくようにして、プレーの中で意識してみましょう。
メッシ選手であれば、ペナルティエリア右サイド付近で前を向いたら、まずは、ゴールに向かってプレーしています。
メッシ選手は得意なパターンに持っていく為に、フラフラと動きながら、味方の動きを利用するなどして、常にチャンスを伺っていますね。
もちろん、パターンは見つけるだけでなく、日々のトレーニングによって培って行くこともできます。
日々のトレーニングの大切さを忘れないようにしてくださいね。
まとめ
1、サッカーの「現れる」プレー
2、サッカーのシュートコースを知る
3、 サッカーの型をもつ
サッカーの試合でゴールをたくさん決められる選手は、どこか自信を漂わせています。
だから、ゴールを決める為に自信を持て、と言っているわけではありません。
以上紹介した3つのような事を「知っている」からこそ、ゴール前でも慌てずにプレーができ、その繰り返しによって自信が生まれます。
自信があれば、迷わずプレーすることができます。
迷わないという事は、「決断力」があると言われています。
元フットサル日本代表監督の、ミゲル・ロドリゴさんは、「決断力」の重要性を繰り返し説いていました。
「決断力」は、自分の頭で考え、答えを見つけていく事で身につけていきます。
今回の3つのポイントもそうですが、すぐに答えを探したり、与えるのではなく、常に問いかけてください。
たどり着く答えは同じでも、自分で考えて見つけた答えは忘れないでしょう。
日本のサッカー界が目指しているゴール(目標)があるのだとすれば、そのヒントは、「決断力」なのかもしれません。