世界最大のスポーツイベント、サッカーFIFAワールドカップ2018ロシア大会も6月にグループステージが開幕し、あっと言う間にノックアウトステージがスタートしました。すでにベスト4が出揃った時点でコラムを執筆していますが、寝不足の日々が続きますね。
今回は、ここまでのロシア大会の大きなトレンドと、過去の結果から、ここからの予想をしてみたいと思います。
2018ワールドカップの大きな変更点①
【ビデオ副審制度導入】
今回のワールドカップからVAR(ビデオアシスタントレフリー)制が導入されました。 2016年から2年間、FIFAの主催大会や各国リーグなどで試験的に導入されてきましたが、概ね評判としては良いとは言えませんでした。「サッカーのスピード感が削がれる」「いちいちプレーが止まるし、巻き戻って再開される」などの趣旨の声が大半だったのではないでしょうか。(実際には1事案に要する確認作業時間は平均60秒で、試合全体の所要時間の1%以下)サッカーのもっともシビアな場面での誤審を防ぐことは、選手、サポーターのどちらのためにもなると思います。
VARの対象は「ゴール」、「PK」、「一発退場」、「懲戒罰の認定」の4つの項目のみですが、今回のワールドカップ(グループステージ)でも最も多いのはPKの判定でした。今回のワールドカップのPKの数は過去最多(18回)をすでに更新し、24回となっています。先の試験導入でも、ビデオ判定された事案の約57%が得点とPKの有無の確認でした。これによりサッカーの戦術的な変化としては、今後のディフェンスはいかにペナルティエリアに侵入させないかが大きなテーマとなるでしょう。同時に、いかにファウルをしないでボールを奪うか、ゴールを守るかが個人の能力として必要なものになってくるのは間違いありません。 VARに関しては今後も賛否両論あると思いますが、映像を確認している間の何とも言えない緊張感も、今後のサッカーの醍醐味になっていくことを期待します。
2018ワールドカップの大きな変更点②
【4人目の交代枠】
今年の3月の決定で、今大会のワールドカップから「ノックアウトステージ以降、交代枠3人に加えて、延長戦に入った場合に限って4人目の交代が認められることになりました。 今までは延長戦を考えて、あえて90分では3人目の交代枠を使用しなかったり、逆に、90分間で決着をつけるために思い切って3人目を交代させるなどもありました。しかし、この4人目の交代枠が認められ、90分間で思い切った交代策が取れるのではないでしょうか。少なくとも90分間で3人の交代枠を使わない手はないでしょう。 ワールドカップのような短期決戦(1ヶ月の長丁場ではありますが)の大会では、スターティングメンバーと試合終了時のメンバーが同じであることは、ほぼあり得ません。試合を始める選手、作る(進める)選手、終わらせる(決める)選手など、変わっていくのが通常だと思います。そういう意味でも、4人目の交代をすることで、スタートから3分の1以上の選手を入れ替えられるのは、面白い見方ができると思います。2014ブラジルでのワールドカップ決勝では、決勝ゴールを決めたマリオ・ゲッツェ、アシストをしたシュールレはともに交代して入った選手でしたね。今回のワールドカップでも、そんな交代した選手が試合を決定づける仕事をするかも知れませんね。
2018ワールドカップの大きな変更点③
【フェアプレーポイント(FPP)の導入】
今回のワールドカップから、グループステージにおける順位決定の方法として、フェアプレーポイントが導入されました。 これは私たち日本人や日本のサポーターの方には印象深いはずですね。日本代表のいた H組で初適用されるまで、こんな制度が導入されたのを知らなかった方々も多いのではないでしょうか。
ここまで準備をしていた(?)代表スタッフはさすがですね。
FPPは、
①イエローカード – マイナス1点
②1試合で2枚のイエローカードによるレッドカード – マイナス3点
③一発退場 – マイナス4点
④イエローカードを受けた上で一発退場- マイナス5点
と定められており、減点が少ないチームの順位が上になる決まりです。
このFPPで順位を決定する前に、得失点差や総ゴール数など通常の決定の仕方があるので、なかなかここまで考えて厳しいグループステージを戦うのは困難ですが、VARの導入と合わせて、安易にファウルで相手を止めるということはできなくなります。これは文字通り、フェアプレーにつながるし、多くの観戦しているであろう育成年代の選手やサッカー指導者にとっても良いことではないでしょうか。
優勝予想と優勝のための資格とは
さて、ベスト4に残っている4カ国の中で、2カ国の優勝は厳しいと考えている国があります。
それは、ずばりベルギーとイングランドです。
ベルギーとイングランドの方やそれぞれのファンの方々には申し訳ありませんが、これには根拠があります。 ワールドカップに優勝するには、当然ですが、7試合を戦い抜く力、そして、そのための経験が必要です。その過去のワールドカップのベスト4に入る経験を十二分に活かして、優勝したのが2014年のドイツではないでしょうか。ベスト4に入れば、例え、負けてしまっても3位決定戦があるので、7試合を戦う経験を積むことができるからです。イングランドは1966年に優勝していますし、ベルギーも1986年のメキシコ大会でベスト4に入っています。しかし、現行の大会形式、特に参加チームが32カ国になったのは1998年からです。これ以降、優勝したのは、今回で言うとフランスだけになります。クロアチアは同大会で初出場で3位になっています。ですので、フランスかクロアチアの優勝争いになるのではないでしょうか。もっとも、科学的な根拠があるわけではありませんので、最後まで分からない展開を期待したいですね。
まとめ
1. 2018ワールドカップの大きな変更点①=VARの導入
2. 2018ワールドカップの大きな変更点②=4人目の交代枠
3. 2018ワールドカップの大きな変更点③=FPPの導入
4. 優勝する資格とは=過去に7試合を戦った国
今回は世界最大のスポーツ祭典、FIFAワールドカップ2018ロシア大会を考察してみました。
もうしばらく眠れない日々が続きますが、4年に1回のお祭りを楽しみましょう。