先週は「攻撃から守備への切り替えの早さ」、「プレスの質」といったグループ守備の基本の確認を行なったのですが、先週末は残念ながら練習試合がなく習熟度の確認をすることができませんでした。
そして、今週末には初めて同じリーグに属する強豪チームとの試合が控えています。もともとプレシーズンの初めの6週間でプレースタイルのプレー原則を選手に理解してもらうことを目指していたため、今週は残りの攻撃に関するプレー原則の導入を行なう予定です。
また、ケガ人が多く今回も11人しか選手がいない状況でした。
この状況を踏まえた上で指導案の作成の流れと考え方を振り返ってみたいと思います。
1,課題の特定
週末が完全オフだったこともあり特に新たな課題というのはありませんが、上記で述べたように攻撃に関するプレー原則を理解してもらうことがテーマとなります。
2、練習テーマの洗い出し
今回のテーマとなるプレー原則は「GKとの1対1の状況を作り出す 相手DF裏のスペースが限られている場合」です。
基本的に攻撃時にはダイアゴナルのパスで相手のDF裏をつくことを攻撃の軸に置いているのですが、相手が引いてきた場合はGKにキャッチされやすくなります。そのような場合は、サイドのスペースからのダイアゴナルパス、いわゆるアーリークロスのようなパスで相手のDF裏をつくことが第2の選択肢になります。サイドからのパス(クロス)というとヘディングを狙うような高さのあるボールで、マイナスもしくは真横へのパスになることが多くなってしまいます。しかし、私はGKとDFの間のスペースへ向かった斜め前方への早く低いパスを求めていますので、その認識の違いを埋めることが大きなテーマになります。
そして、それに伴いゴール前に走り込む選手の質と動き出しももう一つのテーマとなります。
練習メニューの策定
1,ゲーム形式練習、練習ゲーム
DF裏のスペースが限らている状況を作り出すためにPKスポット上にオフサイドラインを設定しました。そして人数が限らていたため、実際のフォーメーションに直接関係のある形でのゲームを行なうことができませんでした。その分、選手の運動量を高める「フットボールコンディショニング」の要素を強くし、その中でアーリークロスが必要となるシチュエーションが生まれるように設定しました。
2,パス練習(ウォームアップ)
*今回はアシスタントコーチが不在だったため、実際に指導しました。
通常はゲーム形式練習で必要となるパターンからポジショニング練習のメニューを先に考えるのですが、今回はウォームアップとして攻撃の型のポジショニング練習に当てることにしたため、パス練習を先に考えました。今回の練習のように実際のフォーメーションに選手を配置し、パスのたびに選手のポジションをローテーションしていくのはオーストラリアサッカー協会が推奨しているウォームアップなのですが、状況判断という要素が不足しているように感じていたため使用していませんでした。ただし、ポジショニングの理解を深めるためにはいいアイデアだと思っており、使用できる機会を探していました。
3,ポジショニング練習
実践に近い形でのゲーム形式練習が出来ないため、ポジショニング練習の中で実践のイメージを持ってもらえるような設定にしました。当初はパス練習の型をDFを置いた状態で反復練習することを考えていたのですが、選手にとっては制限が多くなりすぎて現実味が欠けると思い、シンプルに6対5を通して、どのパターンを、どのように使えるかを指導していく方向に切り替えました。
ただし、最終的に人数の問題で6対4になってしまい、リアリティという面ではなかなか苦しいものがありました。
セルフフィードバック
ドリル形式のパス練習を初めて導入しましたが、やはり攻撃の型の習得には効果的のように思いました。指導も状況判断がない分、技術的な細かな部分を指導することができ、定期的に行なうことは効果的なように思います。
ポジショニング練習は当初予定していた型に沿った練習よりも、自由な状況の中でドリル練習で学んだ型を生かしていくことの方が有効であると感じました。
参加人数が少なくなかなか厳しいものがありましたが、練習の流れという面では悪くなかったと思います。クロスのイメージという点ではいいデモンストレーションをすることができなかったので、後ほど動画などを選手に共有して理解を深めてもらう予定です。