ラダートレーニングのメニューを考える際の注意点

はしご状のトレーニング器具を用いて、様々なステップを踏むことにより、フットワークを向上させることを目的としたラダートレーニングは、サッカーに限らず多くのスポーツの練習で取り入れられています。
しかし、ラダートレーニングの効果に対して懐疑的な見方をしている方が多くいるのも事実です。
その一番の理由は、ラダートレーニングを速く行えるようになっても、それはラダーを使用したステップワークが上達しただけでサッカーにおける動作が速くなっているわけではないということです。
実際にラダートレーニングを行った後にそのままスプリントに移行する練習を見ると、ラダートレーニングとそれ以外の動作では歩幅が大きく異なり、脚の運び方や腕の振り方などを見ても、2つの動作に多くの関連性見られないことが多くあります。
しかし、ラダートレーニングの目的は練習を通じて足を速く動かすこと自体ではありません。

ラダートレーニングの目的

ラダートレーニングの効果として、「脚が速くなる」「俊敏性が向上する」などが挙げられていますが、それはラダートレーニングの動作自体がサッカーに活かされるということではありません。
ラダートレーニングの主な目的は
・脚の動きをコントロールする神経を鍛える
・正しい体の動かし方を身につける

以上の2点だと私は考えます。
はしご状の小さなマスの中で様々なステップをこなすことにより、脚の動きをコントロールするための神経が発達し、それまでよりも速く、より正確に自分の脚を動かすことができるようになります。
そうすることにより、走るだけでなくボールコントロール能力の向上にも役立ちます。
また、「運動神経が悪い」と言われる選手は足の着き方や腕の振り方がおかしいなどの
体の動かし方に問題を抱えていることが多くあります。
そういった悪癖の矯正にも、体を動かすことのみに集中できるラダートレーニングは大いに役立ちます。
これはあくまでも私の持つイメージですが、ラダートレーニングは、「選手の持つ運動能力の最大値を引き上げる」ためのトレーニングにではなく、「選手の持つ運動能力を最大限まで引き出す」ためのトレーニングだと思っています。

体の動かし方の正しい知識が必要

ラダートレーニングを行う際にはただメニューをこなすのではなく、正しいフォームでメニューをこなすことが何よりも大切になります。

ラダートレーニングによりフォームの矯正が行えるということは、間違ったフォームで行ってしまうと悪いフォームを身に着けてしまう恐れがあるということです。

そのため、ラダートレーニングを練習に取り入れるには正しい体の動かし方を理解し、指導できることがコーチには求められます。

ラダートレーニングはゴールデンエイジが最適

体の動かし方の矯正という観点であれば年齢に関わらず導入することができますが、「神経回路の構築」という点で見ると、神経が著しく発達するゴールデンエイジと呼ばれる小学校高学年で行うことが最も効率的です。
それ以降の年代では筋肉の発達が早くなるため、サッカーではなくラダートレーニングに必要な筋肉が発達することでラダートレーニングを速くこなせるようになってしまう恐れがあるのではないかと私は考えております。

ラダートレーニングのメニュー選びのポイント

ラダートレーニングの目的が「神経回路の構築」であれば、同じメニューをこなしているだけでは効果はありません。少しずつ複雑性を上げていき、「新たな神経回路を構築する」必要があります。また、メニューが複雑過ぎて選手が対応しきれていない場合は複雑性を下げる必要があります。
このようにラダートレーニングのメニューを考える際に必要なことは、選手の状況に応じて難易度を調整するための「バリエーション」です。
また、「正しい体の動かし方の取得」という観点で言えば、ラダー使用したステップワークから1対1やドリブルなどのサッカー動作にそのまま移行することにより、ラダートレーニングの動作を実際のサッカー動作の中でも意識できるようにすることも重要でしょう。

指導知識不足を補うために必要なこと

今のところ、私は自分のチームでの練習にラダートレーニングは導入しておりません。
その理由としては、「チーム練習時間不足」、「ラダートレーニングの指導知識不足」、「担当チーム(U18)における運動能力向上の優先順位が低い」などが挙げられます。
私も以前まではラダートレーニングに関して懐疑的な立場でしたが、調べいく中でその効果は疑いがないものだと感じています。
ただし、実際に行うべきかどうかはチームの年代やラダートレーニングにおける指導力などが大きく関わってくると考えています。
今の私のようにラダートレーニングにおける指導知識が不足している場合は、もちろんどこかで指導方法を学ぶということがベストですが意外とそういった機会は多いものではありませんし、身体の動かし方というのは書籍などで理解するのは難しいものです。
そのため、ラダートレーニングの専門家などの外部コーチに依頼し、選手と共に学んでいくということも方法の一つでしょう。

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